今さらながら、片頭痛の新しい治療薬【CGRP関連薬】について解説します|おくだ脳神経外科クリニック|福岡県糟屋郡篠栗町の脳神経外科・内科【頭痛・脳卒中・認知症の専門医】

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今さらながら、片頭痛の新しい治療薬【CGRP関連薬】について解説します

今さらながら、片頭痛の新しい治療薬【CGRP関連薬】について解説します|おくだ脳神経外科クリニック|福岡県糟屋郡篠栗町の脳神経外科・内科【頭痛・脳卒中・認知症の専門医】

2026年10月17日

今さらながら、片頭痛の新しい治療薬【CGRP関連薬】について解説します

今さらながら、片頭痛の新しい治療薬【CGRP関連薬】について解説します

近年、片頭痛の治療は大きく進歩しています。
その中心となっているのが、CGRP(シージーアールピー)関連薬という新しいタイプのお薬です。
注射薬が登場してから数年が経過し、最近では飲み薬も登場しました。
当院でもCGRP関連薬を使用する患者さんが増えてきましたので、今さらながらではありますが、
今回はその効果や種類、費用、それぞれのメリット・デメリットについて、
できるだけわかりやすく解説したいと思います
。

1. そもそもCGRPとは?

CGRPとは、私たちの体の中にある、痛みの情報を伝える働きなどに関係する物質です。
片頭痛が起こる際には、このCGRPが放出され、三叉神経(顔面や頭の感覚神経)を介した痛みの伝達などに関わっていると考えられています。
CGRP関連薬は、このCGRPの働きをブロックすることで、片頭痛を起こりにくくするお薬です。
従来の片頭痛予防薬は、高血圧やてんかん、うつ病などの治療に使われていたお薬を片頭痛の予防として使用することが多いのですが、CGRP関連薬は片頭痛の仕組みに着目して開発されたお薬です。
そのため従来のお薬で十分な効果が得られなかった患者さんにも効果が期待できます。

2. CGRP関連薬はどのくらい効くの?

効果の判定方法によって数字は異なりますが、CGRP関連薬は実際の診療では、7~8割程度の患者さんに何らかの改善がみられるという報告があります。
頭痛の回数が半分以下になる方もいれば、ほとんど頭痛がなくなる方もいます。
一方で、残念ながら十分な効果が得られない患者さんもいて、特に、以下のような場合には効果が乏しいことがあります。
・頭痛が月15日以上ある慢性片頭痛の方
・鎮痛薬の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)を合併している方
・うつ病や不安症などの精神疾患を合併している方
・片頭痛以外の頭痛も合併している方

これらに当てはまるからといって効果がないわけではありません。
また、1回使用して効果が乏しくても、通常は3か月程度継続して効果を判断します。

3. CGRP関連薬には5種類あります

2026年10月現在、日本で使用できるCGRP関連薬は5種類あります。
(近々、6種類目の【ビエプチ】という点滴製剤も発売されますが割愛します)
注射薬が3種類、飲み薬が2種類です。

注射薬
・エムガルティ
・アジョビ
・アイモビーグ

飲み薬
・アクイプタ
・ナルティーク

当院では注射薬としては主にエムガルティとアジョビを使用しており、アイモビーグは現在使用していません。それぞれの特徴を説明していきます。

4. 注射薬について

①エムガルティ

エムガルティは、月に1回皮下注射するお薬です。CGRP関連薬の注射薬として日本で最初に発売されたこともあり、当院でも使用する機会が多いお薬です。
特徴は、初回のみ2本注射し、2回目以降は月1本になることです。
初回は2本注射するため初期費用も高くなりますが、これは最初から十分な薬の血中濃度を得るためです。そのため、比較的早い段階から効果を実感される患者さんもいらっしゃいます。
自宅での自己注射が可能になれば、最大3か月分を処方することもできるため、調子が良くなれば毎月通院する必要はありません。

②アジョビ

アジョビもエムガルティと同じく、CGRPの働きを抑える注射薬です。エムガルティとの効果に大きな差はないと考えられています。
アジョビの特徴は、注射方法を2つから選べることです。
・月に1回、1本注射する方法
・3か月に1回、まとめて3本注射する方法

3か月に1回の方法では、1回の注射本数は増えます(1回に3本注射)が、注射する頻度を減らすことができます。
こちらも自己注射による3か月分の処方が可能です。

5. 注射薬のメリット・デメリット

メリット
・効果が十分であれば、頭痛がない日に薬を飲む必要がない
・薬の飲み忘れの心配がない
・頭痛のコントロールが良好であれば、通院間隔を2~3か月に延ばすことができる

デメリット
・注射なので痛みがある
・注射した部分が赤くなったり、腫れたりすることがある
・効果が不十分でも、投与後すぐに薬の作用をなくすことはできない

特に注射の痛みは、患者さんによって感じ方に差があります。
ただし、毎日薬を飲まなくてよいことや、通院回数を減らせることは大きなメリットだと思います。

6. 飲み薬について

最近、CGRP関連薬に飲み薬が登場しました。
アクイプタとナルティークの2種類です。
注射薬と同じくCGRPの働きを抑えるお薬で、臨床試験では注射薬に匹敵する予防効果が示されています。
注射が苦手な方にとっては、非常に大きな選択肢が増えたことになります。

①アクイプタ

アクイプタは、1日1回、毎日内服する片頭痛予防薬です。
毎日決まったタイミングで飲むため、比較的わかりやすい飲み薬です。
注射薬と違い、まず飲み薬で治療を試してみて、数週間、効果や副作用を確認しながら継続するか判断できることがメリットです。
ただし、錠剤がやや大きいため、飲みにくいと感じる方もいらっしゃいます。
毎日内服する必要があるため、飲み忘れには注意が必要です。

②ナルティーク

ナルティークは、少し特徴的なお薬です。
片頭痛の予防目的では、2日に1回(隔日)内服します。
毎日ではないため、かえって飲み忘れてしまう患者さんもいらっしゃいます。
一方で、ナルティークには大きな特徴があります。
それは、片頭痛の予防だけでなく、頭痛が起きたときの頓服薬としても使用できることです。
例えば、元々ナルティークを内服しない日に片頭痛が起きた場合には、発作時の治療薬として使用することもできます。また、トリプタン(従来の片頭痛の特効薬)で十分な効果が得られない場合にも、ナルティークを使用できることもメリットです。1日の最大使用量は1錠であり、内服間隔などに注意が必要ですが頓服薬として処方することも多いです。

7. 飲み薬のメリット・デメリット

メリット
・効果や副作用を確認しながら治療を試しやすい
・注射が苦手な方でも使用できる
・ナルティークは予防と発作時の治療の両方に使用できる

デメリット
・頭痛がない日も定期的に飲み続ける必要がある
・飲み忘れの可能性がある
・発売から間もないため、現在は処方日数に制限がある

特に最後の処方日数制限は、現時点では大きなデメリットです。
アクイプタは2027年4月まで、ナルティークは2026年12月まで、原則として1回14日分までの処方となっています。
そのため、現在は基本的に2週間に1回、処方のために外来を受診していただく必要があります。
この制限がなくなれば、飲み薬はさらに使いやすくなると思います。

8. 注射薬と飲み薬では、使用できる条件も違います

実は、保険診療において、注射薬と飲み薬には、もう一つ大きな違いがあります。
注射薬は、原則として従来の片頭痛予防薬で十分な効果が得られなかった方や、副作用などで従来の予防薬を使用できない方が対象となります。
一方、飲み薬のアクイプタとナルティークには、そのような治療前の条件がありません。つまり、これまで片頭痛の予防薬を使ったことがない方でも、最初の予防薬として選択することができます(高価な薬なので最初に使用することは少ないですが)。
もちろん、すべての片頭痛患者さんに予防薬が必要なわけではありません。頭痛の頻度や日常生活への影響などを考慮して判断します。ガイドラインでは月に4回以上片頭痛発作がある患者さんでは予防薬を考慮するべきとされています。
従来の予防薬を試してからでないと使用できなかった注射薬と比べて、飲み薬は治療の選択肢が広がったといえます。

9. 気になる費用は?

CGRP関連薬は、従来の片頭痛予防薬と比較すると高額なお薬です。
注射薬も飲み薬も、標準的な治療では、保険が3割負担の方で、薬剤費が1か月あたりおよそ10,000~15,000円程度になります。
飲み薬は注射薬より後に登場しましたが、標準的な1か月分の薬価は注射薬とおおむね同程度となっています。
なお、エムガルティの初回2本投与やアジョビの3本同時投与では、その月の支払額が高くなります。また、実際には診察料や処方料、注射に関する費用なども加わります。決して安い治療ではありませんが、片頭痛のために仕事を休んだり、家事や育児ができなかったりすることが減るのであれば、十分に検討する価値のある治療だと思います。

10. 結局、注射と飲み薬はどちらがいいの?

効果については、注射薬と飲み薬の間に明確な優劣があるとはいえません。
そのため、私は患者さんの生活スタイルや希望に合わせて選択することが大切だと考えています。

注射薬が向いている方
・頭痛がない日も毎日薬を飲むのが面倒な方
・飲み忘れが多い方
・できるだけ通院回数を減らしたい方

飲み薬が向いている方
・注射が苦手な方
・まずは新しい治療を試してみたい方
・注射による副作用が心配な方

現時点では、通院回数を減らせるという点で注射薬にメリットがありますが、飲み薬の処方日数制限がなくなれば、今後はさらに選択肢が広がると思います。

私自身は外科医ですが注射が苦手なので、2025年12月に飲み薬が登場したときには、今後は注射薬から飲み薬が主流になるのではないかと勝手に思っていました。
しかし、実際には片頭痛の患者さんは20~40代の方が多いため、仕事や育児で忙しく、2週間ごとに通院するのが難しかったり、頭痛がない日にはできるだけ薬を飲みたくないという方も多いです。
そのため、意外にも「注射の方がいい」という患者さんも結構いらっしゃいます。
つまり、治療薬を選ぶ際には、効果だけでなく患者さんの生活スタイルや希望も大切なのだと思います。

11. 最後に

片頭痛は、単なる頭痛ではありません。
頭痛のために仕事や学校を休んだり、大切な予定をキャンセルしたり、休日を寝て過ごしたりと、日常生活に大きな影響を与える病気です。
これまでさまざまな治療を行っても十分な効果が得られなかった患者さんにとって、CGRP関連薬は非常に大きな進歩だと思います。
もちろん、すべての患者さんに必要な治療ではありませんし、誰にでも必ず効果があるわけではありません。
しかし、「片頭痛だから仕方がない」と我慢していた方にも、以前より多くの治療の選択肢ができています。
当院では、患者さんの頭痛の頻度や生活への影響、これまでの治療歴などを確認しながら、それぞれに合った治療をご提案しています。
片頭痛でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

おくだ脳神経外科クリニック
院長 奥田 智裕 (日本頭痛学会認定 頭痛専門医)

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