【アイスピック頭痛】こんな頭痛があります|おくだ脳神経外科クリニック|福岡県糟屋郡篠栗町の脳神経外科・内科【頭痛・脳卒中・認知症の専門医】

〒811-2419福岡県糟屋郡篠栗町庄1丁目2-18

092-410-0311

WEB予約
下層メインビジュアル

【アイスピック頭痛】こんな頭痛があります

【アイスピック頭痛】こんな頭痛があります|おくだ脳神経外科クリニック|福岡県糟屋郡篠栗町の脳神経外科・内科【頭痛・脳卒中・認知症の専門医】

2026年10月20日

【アイスピック頭痛】こんな頭痛があります

【アイスピック頭痛】こんな頭痛があります

頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛以外にもさまざまな種類があります。
今回は、個性的な名前の「アイスピック頭痛」について紹介します。
国際頭痛分類第3版という世界共通の頭痛の診断分類における正式名称は「一次性穿刺様頭痛」といいます。
アイスピックは氷を砕くときに使う先端の尖った道具です。その名のとおり、頭をアイスピックで突然刺されたような鋭い痛みが起こることが特徴です。

1.アイスピック頭痛とは?

アイスピック頭痛は、突然、頭の一部に刺すような鋭い痛みが起こる頭痛です。
痛みの強さは中等度から重度のことが多く、非常に強い痛みを感じる方もいます。
特徴は痛みが続く時間が数秒と、非常に短いことです。国際頭痛分類第3版では、約80%の発作が3秒以内とされています。また、発作は不規則に起こり、1日に1回だけのこともあれば、何度も繰り返すこともあります。
突然「ズキッ」と頭に鋭い痛みが走り、数秒で治まったと思ったら、しばらくしてまた同じような痛みが起こる、という感じです。
痛む場所は前頭部や側頭部、頭頂部などさまざまです。以前は前頭部や目の周囲に多いと考えられていましたが、現在では後頭部などにも起こることが知られています。
また、痛む場所が毎回同じとは限らず、発作ごとに変わることもあります。

2.どのような人に多い?

アイスピック頭痛は、若い方から高齢の方まで幅広い年齢層で起こります。
2025年に発表されたメタ解析では、平均発症年齢は41.6歳で、男性より女性に多いことが報告されています。また、この研究では、頭痛を主訴に専門医療機関を受診した成人の約1.6%に一次性穿刺様頭痛が認められました。
決して頻度の高い頭痛ではありませんが、私もこれまでの診療で何人か診断基準を満たす患者さんを経験しており、まったく出会わないような頭痛ではありません。

3.なぜこのような頭痛が起こるのですか?

頭の痛みを伝える神経の働きなどが関係していると考えられていますが、明確な発症機序は解明されていません。
一次性穿刺様頭痛は、脳や脳の血管などに頭痛の原因となる明らかな病気がない「一次性頭痛」に分類されています。
また、片頭痛のある方に合併することが比較的多いことも知られています。

4.危険な頭痛ですか?

アイスピック頭痛自体は、基本的には危険な頭痛ではありません。
ただし、突然鋭い痛みが起こるからといって、すべてがアイスピック頭痛というわけではありません。例えば、三叉神経痛や後頭神経痛などでも、刺すような短い痛みが起こることがあり、痛みの部位などから鑑別しないといけません。
また、痛みがいつも同じ場所に限局している場合には、その部位に何らかの病気(帯状疱疹など)が隠れていないか注意する必要があります。
特に、これまで経験したことのない突然の激しい頭痛や、痛みが持続する場合、手足の麻痺などを伴う場合には、脳の病気を除外することが重要です。

5.治療はできますか?

アイスピック頭痛は、一回の痛みが数秒以内と非常に短いため、痛みが起こってから鎮痛薬を飲んでも、薬が効き始める頃には痛みが治まっていることが多いです。
そのため、発作を頻繁に繰り返す場合には、頭痛を予防する薬を使用することがあります。
インドメタシンという消炎鎮痛薬が海外では以前から使用されており、比較的高い効果が報告されています。
日本ではインドメタシンの内服製剤は現在、販売中止となっていますが、インドメタシンのプロドラッグ(体内でインドメタシンに変化する薬)であるインフリー(インドメタシン ファルネシル)は使用可能です。
ただし、一次性穿刺様頭痛に対するインフリー自体の有効性については、十分な報告があるわけではありません。
そのほか、セレコキシブ、ガバペンチン、アミトリプチリン、メラトニンなどが有効であったという報告もありますが、これらの薬剤についても十分な研究が行われているわけではありません。
そのため、発作が少なく、日常生活に支障がない場合には、薬を使用せず経過を見ることもあります。

6.治りますか?

アイスピック頭痛は、自然に改善することも多い頭痛です。
数日から数週間ほど発作を繰り返したあと、いつの間にか起こらなくなる方が多いです。一方で、数か月から数年にわたって発作を繰り返す方もいます。
ただし、一次性穿刺様頭痛そのものが脳に障害を残したり、命に関わる病気に進行したりするわけではありません。

7.最後に

今回は「アイスピック頭痛(一次性穿刺様頭痛)」について紹介しました。
数秒間だけ頭を刺されたような鋭い痛みが起こるという、非常に特徴的な頭痛です。
名前は怖く、痛みが強いため心配になる方もいると思いますが、危険な病気が除外されれば自然に改善することも多く、必要に応じて治療することもできます。
頭痛にはさまざまな種類があり、痛みの強さだけでなく、持続時間や痛みの部位、繰り返し方も診断の重要な手がかりになります。

参考文献
・Headache Classification Committee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition. Cephalalgia. 2018;38:1–211.
・Osiowski A, Osiowski M, Taterra D. Prevalence of primary stabbing headache: A meta-analysis. Headache. 2025;65:883–891. doi:10.1111/head.14915.

おくだ脳神経外科クリニック
院長 奥田 智裕(日本頭痛学会認定 頭痛専門医)

TOP